いつもご覧いただきありがとうございます。行政書士の林です。

現在、募集中であるIT導入補助金2025について説明いたします。

IT導入補助金2025とは

IT導入補助金は、正式には「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」という名称で、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。

私があえて「IT導入補助金2025」と記載したのは、IT導入補助金が2017年から継続的に交付されている補助金であり、その年によって要件などが少しずつ異なるためです。

もちろん、本質的な部分に変更はありませんが、細かい変更点であっても見逃してしまうと補助金を受けられなくなることも十分にあり得ます。

そのようなことも踏まえて、補助金の内容や手続きについて説明いたします。

IT導入補助金2025の流れ

申請から交付の流れについては制度当初からほぼ変わっていませんが、少し複雑な仕組みになっています。

1.IT導入支援事業者への相談

 補助金を受けたい中小事業者(以下、申請者)が、IT導入支援事業者に対して導入の相談をします。

 IT導入支援事業者とは、申請者(採択された事業者を含む)に対して、補助対象となるITツールの導入支援や補助事業のサポートを行う法人等です。IT導入支援事業者は、事務局等による審査を経て正式に登録されたものに限られますので、相談前に以下のページにて必ずご確認ください。

参考)ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2025

 https://it-shien.smrj.go.jp/search

 ※補助金の交付申請は、電子申請のみとなっています。申請の際、GビズIDプライムアカウントが必要ですので、相談のタイミングには作成しておきましょう(マイナンバーカードと読み取り可能なスマートフォンがあれば数分で完了しますが、郵送の場合は数週間かかる場合がありますのでご注意ください。)。GビズID作成はこちらから。

2.ITツールの選定及び商談、見積依頼等

 後で説明する複数社連携IT導入枠を除き、支援事業者のうち1社に対しての商談になりますので、希望するITツールを全て取り扱っている事業者か確認してください。

3.申請マイページの招待

 申請者が申請用のページを作成するため、支援事業者から電子メールにて招待を受けます。

4.申請マイページの開設

 招待を受けた申請者は、申請用のマイページを作成します。

5.交付申請の作成

 申請者と支援事業者それぞれに入力すべき項目があるため、連携して作成します。

6.交付申請の提出

 5が完成したら、申請者自身で電子申請を行います。

7.交付決定

 無事に採択されれば交付決定通知が申請者に届きます。

8.ITツール契約・導入・支払い

 交付決定後に、申請者と支援事業者で契約を結び、ITツールを導入し、代金を支払います。(納品前の支払いでも構いません。)

 ここで重要なポイントがあります。

 まず、交付決定されるまでは契約をしてはいけません。当然ですが、交付決定前に代金を支払ったり導入してもいけません

 次に、代金については、必ず請求を受けてから支払ってください。その際、申請者名義口座からの銀行振込か、申請者名義のクレジットカードで一括払いにしてください(実績報告のときに確認されます)。

 細かいことですが、できていないと結果的に補助金がもらえなくなる可能性があります。

9.実績報告の作成

 こちらも申請と同様に、申請者と支援事業者で連携して作成します。

10.実績報告の提出

 9で作成したものを申請者が提出します。

11.補助金の額の確定、補助金の交付

 ここでやっと補助金を受け取ることができます。

12.ITツール導入後のアフターフォロー

 ITツールを導入しても適切に活用しなければ補助金の目的も達成できないので、支援事業者による導入後のフォローを受けます。

13.効果報告の作成

 ITツールを導入したことでどのような改善が図られたかを申請者と支援事業者で連携して作成します。

ちなみに、この報告は1度きりではなく、補助金申請の翌年度から3年間報告が必要になります。

これを忘れてしまったり適切な報告ができなければ、補助金を返還することになるかもしれません

14.効果報告の提出

 13で作成した報告を申請者が提出します。

いかがでしょうか。単純に項目を並べただけでかなり大変な感じがしますよね。

IT導入補助金2025の枠組み

IT導入補助金2025には5つの枠組みがあります。

1.通常枠

生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用の補助に加え、クラウド利用料を最大2年分補助し、保守運用等の導入関連費用も支援します。

補助額は最大450万円、補助率は原則2分の1(条件により最大3分の2)です。

機能要件にある「プロセス」というのは、ITツールの分類を表しています。

補助額が5万円~150万円未満の場合は、業務プロセス6つのうちいずれかに該当するツールであればよく、補助額が150万円~450万円以下の場合は、業務プロセスおよび汎用プロセスのうち4種類に該当するツールを導入しなければなりません。

各プロセスがどのようなものかは、以下の公募要領31ページ以降をご参照ください。

(参考)IT導入補助金2025 公募要領

  it2025_koubo_tsujyo.pdf

ここで気になるのが、ハードウェアは対象なのかということですが、結論から申し上げますと、後ほど説明するインボイス枠(インボイス対応類型)複数社連携IT導入枠でのみ対象になります。

ただし、その場合もハードウェア単体ではなく、ソフトウェアの使用に必要なハードウェアを併せて申請する場合のみが対象です。

2.インボイス枠(インボイス対応類型)

通常枠に加えてハードウェア関連費も対象になります。

補助額と補助率は以下のとおりです。

ご覧の通り、通常枠よりも補助率が高くなっています。

特に、小規模事業者は50万円までの部分の5分の4と、ほとんど補助金でまかなうことができます。

3.インボイス枠(電子取引類型)

インボイス対応ITツール(受発注機能あり)のクラウド利用料のみが対象です。

ただ、この枠は「中小企業・小規模事業者等と受発注の取引を行っている事業者」が対象ですので、大企業も補助を受けられます

クラウド利用料の最大2年分だけにはなりますが、補助率も中小事業者は3分の2と高く設定されています。

4.セキュリティ対策推進枠

こちらは限定的なサービス利用が対象です。

この「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」というのは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が認めた民間事業者であるサイバーセキュリティお助け隊が提供するサイバー攻撃対策サービスです。

(参考)サイバーセキュリティお助け隊サービス一覧

https://www.ipa.go.jp/security/otasuketai-pr/hikaku/index.html

ネットワークの監視だと、月額は1万円以下が多いですが、初期費用は10万円程度から数十万円まであり、大きな出費です。

また、端末の監視だと、端末の台数によりますが、やはり数万円から数十万円の費用がかかります。

ネットワーク・端末の両方の監視を併用することもできるため、場合によっては100万円以上かかってきますので、補助額も最大150万円に設定されています。

ちなみに、上の表に書かれている「サービス利用料」には初期費用も含まれます。経済産業省もその旨の説明をしていますのでご安心ください。

経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/otasuketai.html?utm_source=chatgpt.com

5.複数社連携IT導入枠

この枠は、唯一、他の事業者と連携して申請する仕組みになっています。

サプライチェーンや商業集積地の複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入することにより、面的なデジタル化、DX の実現や、生産性の向上を図る取り組みに対し、「通常枠」よりも補助率を引き上げた 「複数社連携IT導入枠」を設け、複数社へのITツールの導入を支援するとともに、効果的に連携するためのコ ーディネート費や取り組みへの助言を行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援することを目的としています。(IT導入補助金2025HPより)

連携する事業者数により補助額は異なりますが、全体的に補助率・補助額ともに高く設定されています

ただ、連携する事業者のうち1社が代表事業者となり、各社の取りまとめと手続きを負担することになります。その代わり、その際に必要となる事務費も補助対象になるため、他社からの信頼も得られる代表を務めることはデメリットばかりではないでしょう。

また、こちらの枠ではハードウェアも補助対象になっているため、活用しやすい面もあります。

まとめ

IT導入補助金2025の補助率等を簡単にまとめると以下のようになります。

枠名主な目的補助対象・
要件
補助率
(最大)
補助額備考
通常枠業務効率化・生産性向上自社課題に合ったITツール2/3(条件あり)5万円~450万円プロセス数に応じ上限額が異なる
インボイス枠(インボイス対応類型)インボイス制度対応の推進会計・受発注・決済機能を備えたソフト+関連ハード利用ソフト: 4/5(~50万円)/2/3(50万円~)
ハード:1/2
ソフト:~350万円
ハード:~10万円(PC等)/~20万円(レジ等)
インボイス枠(電子取引類型)発注者が受注者へアカウント提供する受発注ソフト導入支援受発注機能を持ち、アカウント共有可能なクラウド型ソフト中小等:2/3
その他(大企業等):1/2
~350万円
セキュリティ対策推進枠サイバーリスク低減・セキュリティ強化IPA掲載サービスの利用料(最大2年分)小規模等:2/3
中小企業:1/2
5万円~150万円・初期費用含む
・対象サービスは限定
複数社連携IT導入枠地域DX・複数企業での共同導入促進会計・受発注・決済ツール+消費分析ソフト+ハードウェア等上記参照上記参照事務費・専門家費等の経費も対象

申請をする前に、みなさまが必要としているITツールはどれか、どの支援事業者を選ぶか、どの枠で申請するかなど、綿密な計画が必要となってきます。

また、一度の申請時期において複数の枠に申請できるため、複数のツールを導入する事業者にとっては、どのツールをどの枠で申請するかは非常に悩ましいところです。

さらにややこしいことに、セキュリティ対策推進枠の対象であるサイバーセキュリティお助け隊サービスについては、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型)で申請した場合、その際の申請が加点されるため、どの枠で申請すればいいか分からなくなります。

ここで記載した内容以外にも、補助対象の要件や審査における加点項目など、考えることは少なくありません。また、申請が通ったとしても、その後にITツールの導入状況などの実績報告をきっちり行わなければ、結局は補助金を受けられません。さらには、補助金を受けたとしても、補助金の事務局の指示に従わなかったり不正な点があった場合、補助金を返還しないといけない場合もあります

そんなときに自分だけで考えて申請してしまうのは大きなリスクがあります。IT導入支援事業者との協力も非常に重要ですが、当事務所にご相談いただければ、みなさまに寄り添い、ご納得いただける手法を提案させていただきます。

当事務所にぜひご相談ください

最後までお読みいただきありがとうございました。

※この補助金は年に数回の申請時期があり、現在募集中のものは8/20(水)が締め切りになっているため、今からの準備では間に合わないでしょう。

 ただ、次の募集は9/22(月)が締め切りですので、今からでも十分に間に合います。ぜひご検討ください。

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