
創業融資が否決されないための6つのポイント
いつもご覧いただきありがとうございます。行政書士の林です。
創業融資に創業計画書が重要なことは前回お伝えしました。
では、創業計画書の作成に取り掛かる前に、どのようなことに注意して考えればより良い計画を作成することができるのでしょうか。
今回は、創業融資の申し込みにおいて否決されないための6つのポイントについて、行政書士の立場からわかりやすく解説します。
否決されないための6つのポイント
否決されないためのポイントは次の6つです。
- 自己資金
- キャリア
- 事業計画
- 通帳の状況
- 納税状況
- 個人信用情報
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自己資金
創業時にまず準備すべきなのは自己資金です。
自己資金は、当然ですが実際に存在する現金であり、金融機関に示すことができる最大のアピールポイントです。
そして自己資金の大きさでアピールできるのは、「創業に向けた本気度」です。
自己資金を準備するということは、
「設備や家賃などの創業準備にいくらかかるのか」
「創業後の運転資金は毎月いくらかかるのか」
「十分な売上があがるまでの間は、どれだけ現金を置いておく必要があるのか」
といったことを心配しているということです。
なぜそのような心配をするのか、それは「廃業したくない」からです。
つまり、自己資金をしっかりと準備している人は、事業の継続を本気で考えているということです。
最近では、自己資金の有無が融資申し込みの条件から除外されているケースも増えているため、自己資金がなくても申し込みは可能です。代表的なものとしては日本政策金融公庫の創業者向け融資である「新規開業・スタートアップ支援資金(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)」があげられます。
ただ、やはり審査においては自己資金を加味したうえで採否が判断されますので、要件だけ満たしていれば必ず融資を受けられるわけではないのです。
理想としては、融資希望額の3割程度を準備しておくと安心です。
ちなみに、自己資金は、現存する現金だけではなく、創業準備のために使用した費用も含めることができます。
また、法人の場合は「資本金」がありますが、自己資金は資本金とイコールではありません。資本金以外で事業に使用する予定がある現金も含めて自己資金として認められますので、これらを組み合わせて自己資金が確保できるようにしましょう。
キャリア
創業計画書にも記載するキャリアは、事業の成功を裏付ける大きな材料になります。目安としては、業界経験が5年あれば審査においてプラスになります。
国などが後押ししていることもあり創業しやすくなっているため、飲食経験がないエリート会社員が夢であった飲食店を開業する、というようなケースも見受けられます。しかし、その状況だけを聞いて「これはきっとうまくいく」と思うことができるでしょうか。
職場でも、「前の部署では優秀だったのに、今の部署では活躍できていない」とか「優秀だった人が管理職になった途端にいい噂を聞かなくなった」ということはよくあることです。会社内でさえそんな状況なのに、未経験の業界に飛び込む人を信じることがどれだけ難しいかは考えるまでもありません。
もちろん、未経験の業界にチャレンジすることを否定するわけではありません。未経験の業界でも業績をあげられる根拠を示せばよいのです。
例えば、
・取引先に飲食店が多く、経営について一緒に考える機会が多かった。
・その業界の経験者である知人を雇用する。
・その業界に精通した人からサポートを受けられる。
など、創業後すぐに軌道に乗せられるだろうと思わせる何かがあれば、金融機関にも説明しやすくなります。
なお、アルバイトやパートの経験は基本的にはキャリアに含みませんが、経営面に深く関わっていたり、特別な技術を習得していることなどを説明できるのであれば、キャリアと考えても構いません。
事業計画
開業することは決めたとしても、「何を」「どれくらい」「いつまでに」「どうする」といった見通しがなければ、事業が成功する確率は大きく下がります。
どれだけ事業のアイデアが豊富でも、将来の経営を考えられなければ事業の継続は不可能に近いです。
また、経営には売り上げをはじめとする数字の管理や、急速に発達するITに関するリテラシーなども、経営者に必要な能力になります。
そのような点も踏まえて将来を見据えたうえでの事業計画を考える必要があります。
通帳の状況
現在の資金も重要ですが、日ごろのお金の管理も経営力を判断するのに非常に重要な要素になります。
入金状況はもちろんのこと、出金の状況についても金融機関としては知りたい情報です。
- 自己資金の金額がどのように貯蓄されてきたのか
- 家賃や公共料金の延滞はないか
- 借入や返済の状況
- その他おかしなお金の動きはないか
金融機関は上記のような点を確認し、融資をした後も適切に資金管理できるかどうかを判断します。
融資申込の際に通帳の写しを提出することになりますので、少なくとも申込前6か月分はそのような不安を抱かせない通帳にしておく必要があります。
納税状況
創業前の場合はあまり関係ありませんが、既に事業を開始している方は各種税金を滞納していないか、きちんと確定申告をしているかといった点も重要です。
税⾦に未納があると融資は原則受けられません。単に税⾦が払えないほど財務が厳しいという理由だけでなく、万が⼀借主が破産をした場合、税⾦は優先的破産債権となり、⾦融機関の融資よりも優先して配当されます。つまり、税金の滞納者は融資の回収可能性が著しく下がるのです。
また、日本政策金融公庫や自治体の制度融資※においては、その財源が税金であることから、やはり税金の滞納にはシビアになっているのです。
ただし、完納できていないとしても、分割納付を認めてもらっている場合などは必ずしも否決されるわけではありません。税金の支払いが困難な場合でも、黙って滞納することなく、誠実に対応していることが重要です。
※制度融資については以下の記事をご参照ください。
個人信用情報
個人信用情報とは、住所・氏名・生年月日などの本人識別情報や、クレジット・ローン等の契約内容・残⾼・毎⽉の⽀払状況などのことです。
日本政策金融公庫の場合は、「CIC」という機関に照会して個人信用情報を確認します。
借金の状況などは申し込み時に嘘をついたり事実を隠しても必ず把握されてしまうので、誠実に伝えることが重要です。
※CIC・・・主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関。クレジットやローン利用に関する信用情報の収集・管理・分析・提供・開示を行う。会員企業からの照会だけでなく、個人が自身の情報を照会することも可能。メガバンク、地銀、⽇本政策金融公庫も加盟。
まとめ
創業融資は、単に事業を始めるための資金調達ではなく、「事業を継続できるかどうか」を金融機関に審査してもらう機会でもあります。
創業融資が否決されないための6つのポイントである自己資金、キャリア、事業計画、通帳管理、納税状況、信用情報といった項目は、それぞれが個別に評価されるだけでなく、「経営者としての信頼性や覚悟」を総合的に判断する材料になります。
創業計画書は書式を埋めるだけの書類ではなく、これらの視点を踏まえて自分のビジネスを言語化し、未来を描くための設計図でもあります。
この記事の内容を踏まえ、事前準備をしっかり整えたうえで臨めば、金融機関に安心感と説得力を示すことができ、融資成功の可能性は大きく高まります。創業を目指す皆様が、着実に一歩を踏み出せるよう応援しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。


