
経営者保証なし!
「スタートアップ創出促進保証(SSS保証)」
~創業間もない法人のための信用保証制度〜
いつもご覧いただきありがとうございます。行政書士の林です。
創業融資を検討している方の中には、「保証人や担保が必要なのでは?」と
不安に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、2023年3月から新たに始まった「スタートアップ創出促進保証(SSS保証)」を活用すれば、経営者保証なしで融資を受けることが可能です。
今回は、このスタートアップ創出促進保証について、行政書士の立場からわかりやすく解説します。
スタートアップ創出促進保証とは
「スタートアップ創出促進保証」は、借金や個人保証を抱えるという懸念を取り除き、創業や分社化を支援するために設けられた信用保証制度です。
中小企業庁と信用保証協会が連携してスタートした制度で、保証協会の保証付き融資でありながら、経営者保証を不要とする仕組みが採用されています。
この制度を利用すれば、経営者個人の資産をリスクにさらすことなく、法人の資金調達が可能になります。
※この制度は、個人事業主の方は対象外ですのでご注意ください。
制度の目的
この保証制度は、次のような目的で設けられています。
・スタートアップ企業の挑戦を後押しすること
・経営者個人の負担を軽減し、安心して創業・分社化に踏み出せる環境を整えること
・持続的な経営の意識を創業期から根付かせること
創業間もない事業者は、金融機関から「実績がない」と見られ、融資が受けにくい場合があります。
この制度は、そのような創業者を支援し、日本全体で新しい企業を生み出していくことを目的としています。
融資の条件・上限
スタートアップ創出促進保証の概要は、次のとおりです。
| 保証対象者 | ・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者) ・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する 具体的な計画がある者) ・創業後5年未満の法人 ・分社化後5年未満の法人 ・創業後5年未満の法人成り企業 |
| 保証限度額 | 3,500万円 |
| 保証期間 | 10年以内 |
| 据置期間 | 1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内) |
| 金利 | 金融機関所定 |
| 保証料率 | 各信用保証協会所定の創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せした保証料率 |
| 担保・保証人 | 不要 |
| その他 | ・創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の提出が必要(※1) ・保証申込受付時点において税務申告1期未終了の創業者にあっては創業資金総額の 1/10以上の自己資金を有していることを要する。(※2) ・本制度による信用保証付融資を受けた方は、原則として会社を設立して3年目および 5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関する チェックシート」に基づいた確認および助言を受けることを要する。(※3) |
創業したばかりの方でも、上記の条件を満たしていれば利用が可能です。
運転資金・設備資金のどちらにも対応しているため、開業準備から事業拡大まで幅広く使うことができます。
※1 創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)については、創業準備の着手状況など創業者特有の事情を記入する必要があります。ただし、税務申告1期以上終了している場合は省力できるものもあります。
※2 申請要件としては「1/10以上の自己資金」ですが、前回の記事「創業融資の基礎知識と活用法」でもお伝えしたとおり、実際の審査においては、3割程度の自己資金を準備するのが望ましいでしょう。
※3 「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」とは、経営の透明性や財政状況に問題がないかを確認するものです。会社を設立して3年目および5年目のタイミングでチェックシートを作成し、そのシートに基づき中小企業活性化協議会と面談を行います。
まとめ
スタートアップ創出促進保証は、「経営者保証がいらない創業融資」として注目されている制度です。
この制度を活用することで、リスクを抑えながら、思い切って事業に挑戦できる環境を整えることができます。
これから創業を考えている方は、通常の「創業保証制度」とあわせて比較検討し、自分に最適な資金調達の方法を選ぶことが大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。


